【電子車検証】車検後も日付が変わらない?仕組みと確認方法、記録事項を解説

2023年1月(軽自動車は2024年1月)から導入された電子車検証は、従来の紙の車検証とは異なる仕組みを持っています。車検後に「上に記載されている日付が変わっていないけれど、間違いではないか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
これは、電子車検証では、使用者の氏名や車台番号などの基礎的な情報のみが券面に記載され、その他の車検の有効期間や使用者の住所などの情報はICタグに記録される仕組みになっているためです。つまり、券面が変わらなくても、ICタグの情報は更新されていますのでご安心ください。
この記事では、電子車検証の特徴、日付が更新されない理由、正しい確認方法、そして重要な「自動車検査証記録事項」について詳しく解説します。
POINT
紙の車検証とは異なり、電子車検証は券面の情報に変更がない場合、新たな車検証は交付されません。代わりに、車検証に内蔵されたICタグの情報が更新されます。
- 車検証自体は更新されない。
- ICタグに記録された情報が更新される。
電子車検証とは?従来の車検証との違い
電子車検証は、2023年1月から(軽自動車は2024年1月から)交付が開始された新しい形式の車検証です。従来の紙の車検証と比較すると、以下の特徴があります。
- 券面の小型化
・A4サイズからA6サイズに変更 - ICタグの内蔵
・一部の情報をICタグに格納 - 記載情報の簡略化
・車検の有効期間など、一部の情報が券面に記載されなくなった
車検を受けても電子車検証上部の日付が更新されない理由
車検後に「電子車検証の上部の日付が更新されない」「車検証が新しくならない」理由は、以下の2点です。
- 券面記載の情報に変更がない
・車検の有効期間や所有者の氏名・住所などはICタグに記録されるため、券面記載事項の変更がない場合は、新しい車検証は発行されません。 - ICタグ内の情報が更新される
・車検を受けると、ICタグ内のデータは更新されます。ICタグ内の情報は専用アプリで確認できます。
電子車検証の詳細情報(車検の有効期間など)の確認方法
電子車検証の券面には車検の有効期間が記載されません。車検の有効期間などの電子車検証の詳細な情報を確認するには、主に以下の2つの方法があります。
1.スマートフォンを使用する場合
- スマートフォンに国土交通省が提供する「車検証閲覧アプリ」をインストールします。
- アプリを起動し、電子車検証のICタグをスマートフォンの背面にかざして読み取ります。
- 電子車検証の券面に記載されているセキュリティコードを入力し、情報を表示します。
- アプリ内で車検の有効期限やその他の詳細情報を確認できます。
2.パソコンとICカードリーダーを使用する場合
- パソコンに国土交通省が提供する「車検証閲覧アプリ」をインストールします。
- ICカードリーダーをパソコンに接続します。
- アプリを起動し、電子車検証のICタグをICカードリーダーにかざして読み取ります。
- 電子車検証の券面に記載されているセキュリティコードを入力し、情報を表示します。
- パソコン上で車検の有効期限やその他の詳細情報を確認できます。
自動車検査証記録事項とは?│ICタグに記録された情報を書面で確認できるもの
電子車検証と併せて当面の間発行される「自動車検査証記録事項」は、ICタグに記録された情報を書面で確認できるものです。

- 電子車検証のICタグに記録された情報が記載されています。
- 電子車検証の情報を確認するための補助的な役割を果たします。
- 電子車検証と合わせて保管しておくことで、情報をスムーズに確認できます。
- 運輸支局等に設置された端末から印刷が可能です。
- 車検証閲覧アプリを使用し、自宅やコンビニなどのプリンタで印刷が可能です。
「自動車検査証記録事項」は車検証の代わりにはならない│記録事項と車検証との違い
「自動車検査証記録事項があれば車検証の代わりになるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自動車検査証記録事項は車検証の代わりにはなりません。両者には明確な法的位置づけと効力の違いがあります。
①車両搭載義務の有無【道路運送車両法で定められた義務】
最も重要な違いは、車両搭載義務の有無です。
- 車検証
・道路運送車両法第66条のにより、車両運行時に必ず搭載することが義務付けられています。不携帯の場合、罰則の対象となる可能性があります。 - 自動車検査証記録事項
・車両への搭載義務はありません。
②公的書類としての効力の違い【「証明」と「補助資料」の差】
各種手続きにおける公的書類としての効力も大きく異なります。
- 車検証
・車両が保安基準に適合していることを証明する公的書類であり、名義変更、廃車、車検など、あらゆる手続きで原本の提出が求められます。 - 自動車検査証記録事項
・あくまで車検証の「補助資料」であり、各種手続きにおいて車検証の提出が求められるケースでは、自動車検査証記録事項では代用できません。
電子車検証 と 自動車検査証記録事項の比較表
項目 | 電子車検証(本体) | 自動車検査証記録事項(補助資料) |
---|---|---|
位置づけ | 車両が保安基準に適合していることを証明する公的な証明書 | ICタグの情報を確認するための補助的な書類 |
車両への搭載義務 | 義務あり(道路運送車両法第66条) 不携帯は罰則の対象 | 義務なし |
公的書類としての効力 | あり 名義変更や車検などの手続きで原本が必須 | なし 車検証の代わりにはならない |
主な記載情報 | 【券面】 車台番号など基礎情報のみ 【ICタグ】 有効期間、所有者情報など全ての情報 | ICタグに記録されている全ての情報が印刷されている。 |
電子車検証の注意点
電子車検証を利用する際には、以下の点に注意が必要です。
- ICタグの破損に注意
・ICタグが破損すると情報が読み取れなくなるため、取り扱いに注意が必要です。 - 車検切れに注意
・電子車検証では券面に車検の有効期間が記載されないため、アプリの通知機能を活用するなどして、有効期間を把握しておきましょう。 - 「自動車検査証記録事項」も保管する
・電子車検証と合わせて発行される「自動車検査証記録事項」は、ICタグの記録情報が記載されています。
・車両の各種手続きの際に必要となる場合がありますので電子車検証と一緒に保管しておくと安心です。
まとめ

電子車検証は、従来の紙の車検証とは仕組みが異なります。車検を受けても券面記載事項に変更がない場合、新しい車検証は発行されませんが、ICタグの情報は更新されており、アプリで確認することができます。
「自動車検査証記録事項」と併せて電子車検証の仕組みを理解し、適切に保管・利用しましょう。
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道路運送車両法第58条第2項
(自動車の検査及び自動車検査証)
第五十八条 自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
2 自動車検査証は、車台番号、使用者の氏名又は名称その他国土交通省令で定める事項が記載され、かつ、これらの事項、有効期間その他国土交通省令で定める事項(以下「自動車検査証記録事項」という。)が電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により記録されたカードとする。
(以下略)
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
道路運送車両法第66条第1項
(自動車検査証の備付け等)
第六十六条 自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
(以下略)