自動車検査証記録事項とは?電子車検証の仕組みを解説

2023年(令和5年)1月から自動車検査証(車検証)の電子化が始まり、従来のA4サイズからICチップを搭載したコンパクトなA6サイズへと変更されました。
これに伴い、電子車検証とあわせて「自動車検査証記録事項」という書面も交付されることになりましたが、車検証との違いや記録事項の役割についてよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、岩手県で自動車・バイクの登録手続きを専門とする行政書士が、「自動車検査証記録事項」のポイントを分かりやすく解説します。
自動車検査証記録事項とは?
自動車検査証記録事項とは、2023年1月から導入された電子車検証制度において、電子車検証に記載されている内容とICタグに記録されている情報を書面で確認することができる重要な書類です。
車検証が電子化されたことで、車検証自体はカードサイズ(A6サイズ)になりましたが、電子車検証に記載されない詳細な情報について、別途この自動車検査証記録事項として提供されています。
自動車検査証記録事項の記載内容
自動車検査証記録事項には以下の重要な情報が記載されています。
- 所有者の氏名・住所
- 使用者の氏名・住所
- 使用の本拠の位置
- 車検の有効期間
- 車両の詳細情報
- その他電子車検証に表示されない情報

なぜ自動車検査証記録事項が重要なのか?
公的な手続きなどでの必要性
自動車検査証記録事項は以下の場面で必要になります。
- 自動車税の申告手続き
- 仮ナンバー(臨時運行許可)の申請
- 各種行政手続き
- 保険会社への提出
- 車両売買時の書類として
自動車検査証記録事項の法的な位置づけ
自動車検査証記録事項は車検証と違い、車両への常時携帯義務はありませんが、各種手続きをスムーズに進めるため、車内に車検証と一緒に保管しておくことをおすすめします。
「自動車検査証記録事項」は車検証の代わりにはならない│記録事項と車検証との違い
「自動車検査証記録事項があれば車検証の代わりになるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自動車検査証記録事項は車検証の代わりにはなりません。両者には明確な法的位置づけと効力の違いがあります。
①車両搭載義務の有無【道路運送車両法で定められた義務】
最も重要な違いは、車両搭載義務の有無です。
- 車検証
・道路運送車両法第66条により、車両運行時に必ず搭載することが義務付けられています。不携帯の場合、罰則の対象となる可能性があります。 - 自動車検査証記録事項
・車両への搭載義務はありません。
②公的書類としての効力の違い【「証明」と「補助資料」の差】
各種手続きにおける公的書類としての効力も大きく異なります。
- 車検証
・車両が保安基準に適合していることを証明する公的書類であり、名義変更、廃車、車検など、あらゆる手続きで原本の提出が求められます。 - 自動車検査証記録事項
・あくまで車検証の「補助資料」であり、名義変更などの各種手続きにおいて車検証の提出が必要なケースでは、自動車検査証記録事項では代用できません。
電子車検証 と 自動車検査証記録事項の比較表
項目 | 電子車検証(本体) | 自動車検査証記録事項(補助資料) |
---|---|---|
位置づけ | 車両が保安基準に適合していることを証明する公的な証明書 | ICタグの情報を確認するための補助的な書類 |
車両への搭載義務 | 義務あり(道路運送車両法第66条) 不携帯は罰則の対象 | 義務なし |
公的書類としての効力 | あり 名義変更や車検などの手続きで原本が必須 | なし 車検証の代わりにはならない |
主な記載情報 | 【券面】 車台番号など基礎情報のみ 【ICタグ】 有効期間、所有者情報など全ての情報 | ICタグに記録されている全ての情報が印刷されている |
自動車検査証記録事項を紛失した場合の対処法
自動車検査証記録事項を紛失した場合は、国土交通省が提供する車検証閲覧アプリを使用して自動車検査証記録事項をダウンロード・印刷するか、運輸支局や軽自動車検査協会などで閲覧・印刷することができます。
国土交通省・車検証閲覧アプリの使用
国土交通省が提供する「車検証閲覧アプリ」を使用して自動車検査証記録事項のダウンロード・印刷が可能です。
- スマートフォンやPCから24時間アクセス可能
- PDF形式でダウンロード・印刷が可能
- 無料で利用可能
運輸支局の専用端末での閲覧・印刷
運輸支局の窓口付近に設置された専用端末で自動車検査証記録事項を閲覧・印刷することができます。
電子車検証のセキュリティコード(4桁の数字)を入力し、車検証原本をICタグリーダーにかざして読み取りを行います。
(参考)岩手運輸支局:手数料無料
軽自動車検査協会での閲覧・印刷
軽自動車検査協会の窓口付近に設置された専用端末で自動車検査証記録事項の情報を閲覧することができます。
電子車検証のセキュリティコード(4桁の数字)を入力し、車検証原本をICタグリーダーにかざして読み取りを行います。
専用端末には印刷機能がありません。窓口で印刷対応しています。
(参考)軽自動車検査協会岩手事務所:手数料1枚50円
よくあるご質問
電子車検証と自動車検査証記録事項とは何が違うの?
電子車検証は ICチップ付きカード、記録事項は詳細情報を記載した紙の書類です。
記録事項なしでも運転できる?
法的には問題ありませんが、各種手続きで必要になるため車両への保管をおすすめします。
車検を受けたのに車検証の日付が変わらないのはなぜ?
車検の有効期間や所有者の氏名・住所などはICタグに記録されるため、券面記載事項の変更がない場合は、新しい車検証が発行されません。
まとめ

自動車検査証記録事項は、電子車検証制度において車両の詳細情報を確認するための重要な補完書類です。デジタル化が進む中でも、紙ベースでの情報確認が必要な場面は多く存在します。
車検証が電子化された現在、自動車検査証記録事項の役割や活用方法を正しく理解しておくことで、各種手続きを円滑に進めることができます。
紛失した場合でも、車検証閲覧アプリや専用端末を利用して簡単に再取得することができますのでご安心ください。
▼参考法令はこちら
道路運送車両法第58条第2項
(自動車の検査及び自動車検査証)
第五十八条 自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
2 自動車検査証は、車台番号、使用者の氏名又は名称その他国土交通省令で定める事項が記載され、かつ、これらの事項、有効期間その他国土交通省令で定める事項(以下「自動車検査証記録事項」という。)が電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により記録されたカードとする。
(以下略)
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
道路運送車両法第66条第1項
(自動車検査証の備付け等)
第六十六条 自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
(以下略)
出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
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